オシエクの次の目的地はザダルだった。この日は半日かけてアドリア海沿岸にまた戻る。電車のなかでの覚えていることがある。それはコンパートメントでの話。それと、ザダルの共用アパートメントでの出会い。
電車に乗る
まだ朝暗いうちから宿をチェックアウトする。本当に真っ暗のまだ夜である。朝5時。オシエクの駅から、落書きだらけの電車に乗り込む。車窓から流れ行く駅を眺める。


3日前に駅で時刻表を見ていた。ザダルまでどうやって行こうかと。
ザダルまでのバスがあることは確認できた。オシエクからイストラ半島まで行ける直通バスがあった。この夜行バスでオシエクからザダルに直行する方が乗り換えなしで楽だし、速い(20時オシエク発→4時45分ザダル着)。

だけど、どうしてもクロアチアで鉄道に乗ってみたかった。だからザダルに行く途中まで、つまりザグレブまで電車で行くことに決めていた。

真っ暗な夜の中、ザグレブへ向かう。車内の廊下を歩いていく。
誰もいないコンパートメントで、おやつを広げるなどする。兼、朝ごはん。

コンパートメントはきちんとドアが閉められるようになっていた。なんだか、ハリーポッターに出てくるホグワーツ行き列車を思い出す。これから自分の知らない何かが始まるという高揚感は似ていたのかもしれない。コンパートメントがあると、欧州鉄道の旅といった風情がある。誰にもこの空間を邪魔されない安心感があった。だけど、このあとコンパートメントは地元の人で一杯になるんだけど。
本当はこの旅ではできる限り電車の旅をしてみたかった。けれど、クロアチア内の都市間移動はバスが主流で、電車は本数も少ないし、路線も限られていて、高速道路があるからかバスの方が速く、電車を使う人は少なかった。殆どの移動で電車の旅ができないことは不満だった。
どうしてそんなに電車に拘っていたんだろう。異国での電車は自分の中では非日常と結びついているのかも。電車の中では、移動が移動にならない。
朝になってきた。朝焼けを眺めながら、車内の騒めきが少しずつ増えていった。


4時間くらい揺られていると、ヴァラジュディン手前のコプリヴニツァという駅に着く。10分くらい停車した。どちらもザグレブから離れたクロアチア北部の町である。
コプリヴニツァ駅の写真だけ残ってる。ここからまたザグレブに向かったらしい。


明け方のガラガラだったコンパートメントは、この頃には人が増えていた。隣りに座ったクロアチア人のおじいちゃんをよく覚えている。その人は英語が全然話せないようだった。クロアチアでは英語を話せる人が多かった記憶があるが、年配者になるほど少なくなる傾向にあった。このおじいちゃんとは簡単な単語でもあまり伝わらなかった。
それでも、そのおじいちゃんからは母国を訊かれた。そして伝えることに苦労した覚えがある。たぶんクロアチアのこんな北部の観光地でもない場所を電車で旅しているアジア人は珍しかったんだと思う。コンパートメントはクロアチア人でいっぱいだった。
身振り手振りで伝えたり、持ってきていたクロアチア語の本で何とかする。その本は日本語とクロアチア語で書かれたイラスト満載だった。カテゴリーごとにページが分かれていて、国に関するページを広げながら会話してみた覚えがある。まさにこの本の目的に沿った使い方をした。旅の指さし会話帳という本である。この本は英語が使えない国に行く時に役立つと思う。それでも今はGoogle翻訳の方が主流かもしれない。
そういえば、この人とは電話番号も教えてもらったような気がする。でも電話はかけなかったなあ。そして、おじいさんはコプリヴニツァ付近で降りて行った。
再びザグレブの駅
10時ごろ無事にザグレブに着いた。駅構内にあるベンチに座って過ごす。屋内なのにやけに鳩だらけだった覚えがあるw

ピザなどを食べる。ザダルへのバスは昼出発だったから、暇だった。いい匂いがするのか、鳩がおこぼれをもらいに寄ってくる。

果物やサラダの自販機があるのを見つける。面白い。バナナやりんご、オレンジまで売っている。

コーヒーを飲んで一服する。またもや自販機で買ってしまう。















