この日はもうベオグラードを去り、またクロアチアへと再入国するつもりだった。15時のオシエク行きのバスチケットを購入して、クロアチアへ再入国する。ベオグラードは、宿代も物価もかなり財布に優しいということ、3日しかいなかったのに道ゆくセルビア人に何度も話しかけられたこと。その二つが記憶に残っている。
トラムに乗る
ベオグラードには、丘になっている見晴らしの良い公園がある。それがカレメグダン公園。19世紀末まで要塞として機能していた場所。
そこまでトラムで行く。サラエボもザグレブもだけど、トラムがある町で良かった。地下鉄の導入が遅れて良かった。いや、導入するほどでもなかったかもしれないし、地下鉄を作る余裕がなかった、という方が正しいんだろうけど。でも、旅人的には地下鉄なんかよりも、トラムの車窓から町中を眺める方が乙なもんである。今は地下鉄の計画が進んでいるなんて、当時の自分は知らない。
バスチケットを駅の隣のバスターミナルで買って、この辺りを地図を見たり、うろついていると、またセルビア人美女に話しかけられる。「May I help you?」なんだか、困ってそうな外国人を放っておけない国民性みたいだ。とりあえず、乗るトラムは分かっていたので、大丈夫と答える。
最新式のトラムだとつまんないなー。

確か乗ったのは、こっち↓ 旧式のトラム。

これは帰りに乗ったトラムなんだけど、中はこんな感じ。

古めかしい内装の車内から、落書きだらけのベオグラードの街並みを眺める。この通り、HONDAにも落書きだらけ。
こんな風景が目前を流れる。

カレメグダン公園
要塞だったこの場所には、今は公園が広がっている。けっこう広くて、ドゥブロヴニク旧市街の4〜6倍くらいある。勾配があって、登ったり降ったりするだけでも結構歩く。
入り口付近かなあ。突然ジュラシックパークになっていたのはすごく覚えてる。何故に?

城塞はかなり立派。今見える大部分の要塞は17〜18世紀のものだそう。

ここは要塞だった歴史を展示してる軍事博物館があるのだけど、その一環として、多くの戦車や大砲が並んでいた。


これってミサイルなんかなー。

軍事博物館にも入って、年代ものの品々を眺める。
これは16世紀のものらしい。こんな甲冑を着た兵士が要塞内をパトロールしてた時代があったんだろな。

旧ユーゴ地域の戦史という名目だからか、中世のドゥブロヴニクの地図もあった。

あとはこれ。
頭蓋骨がモルタルに埋められている。これは、ニシュというセルビアの町にある、頭蓋骨の塔の一部。
19世紀初頭、オスマン帝国への支配に不満を募らせたセルビア人たちが、一念発起し反乱を起こした。チェガルの戦いと言う。オスマン帝国は弱体化しかけていたけど、それでも圧倒的な兵力には勝てなかった。勝利したオスマン側は反乱軍の首を切り落とし、その頭蓋骨を使って塔を築いた。見せしめとして今後の反乱を防ぐために。
しかしこの出来事はセルビア人たちの抵抗の象徴となった。そのあと、オスマン帝国支配を脱する。頭蓋骨の塔は、命を捧げて英雄として戦った彼らを讃えるために残されることになった。
頭蓋骨は遺族によって墓で葬りたいと言った理由から取り外されてることも多く、あまり残ってなかったりするけど、その当時の惨事を知るにはこれだけでも充分だね…

バイクにはテンションが上がる。

戦争の歴史は人類の歴史だね。
サヴァ川とドナウ川
ここからはサヴァ川とドナウ川が見渡せる。ドナウ川を見るのは初めてだった。昔、音楽の授業で『美しく青きドナウ』を歌ったことを思い出す。何ヵ国もの欧州の町を通り抜けて、ベオグラードにも流れているらしい。


園内は結構のどかで、家族連れが多い感じ。動物園だってある。

時代はドゥブロヴニクの城塞が作られた時と被ってるものもあって、なんだか似てるような気もする。

モザイク画
園内には二つの教会がある。その一つ、ルジッツァ教会(Ružica Church)。

入り口には蔦がすごい。今のルジッツァ教会はもっと蔦が蔓延っていてもっとすごいことになってるらしいw


さらに歩くと、聖ペトカ教会(Sveta Petka Chapel)が見える。

ここはモザイク画が素晴らしかったのでよく覚えてる。内部にもあるんだけど、教会外側にあるモザイクが鮮やかに描かれている。かなり細かい仕事!
また、イスラム建築で見られる幾何学的な装飾と比べると曲線が多く、左右対称でもないので、一つ一つきっちり隙間なく埋め込むのは職人の技が必要そうだな。


公園内には沢山のモザイク画が他にも見れた。適当に歩いているだけで、こんなの見つかって面白いなーと思った。確か、園内の外周だったと思うけど、自信がない。


ベオグラードは名残惜しかったけど、これにて後にする。この旧式の赤いトラムが町中を走ってる風景は好きだった。

カレメグダン付近は傾斜あるね。

滞在費も安かったし、先に旅程を決めないで来ていたら、もっと長く滞在していただろうなあと思う。そうしてみたかった。
バスに乗る
クロアチアのオシエクへと向かう。この頃は1ディナール=1.11円ほどだったらしいので、1930ディナール × 1.11円 ≒ 2140円くらい。バスチケットはこれ。

4時間ほどバスに揺られる。また車窓から景色を眺める。これはまだベオグラード。
ここはサヴァ川かな?
ベオグラードを出ると、急に農村地帯になる。

途中でおやつなどを買う。

Sidってとこのバスターミナルに停まる。

途中で見たピンクと白の教会。あんまりセルビアっぽく感じなかった。

スタンプをちゃんともらって、クロアチアに入国。

オシエクには問題なく到着。宿に入るのに少し手間取った覚えがあるけど、クロアチアのSIMカードが使えたので、なんとかなった。狭いけど、部屋に入れると、一安心。


駅から徒歩圏内の宿にした。もう夕暮れどきのオシエクは、ベオグラードに比べて静かで、こじんまりしていて、時の流れが緩やかに感じた。町にはドナウ川よりもサヴァ川よりもずっと小さなドラヴァ川が流れていた。